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いやー

しばらく何も載せて無かったけれど一応気ままにいろいろ書いてはいる。
ただし冒頭だけ。設定を考えるのは楽しいのだけれどね、書き出してすぐ飽きる。
こうしてあげればやる気が持続するんで無いかと思って。
気分の問題なので、別に読まなくていいです。てか読まないでください。。
長いですし。そしてこれも既に飽き気味ですし…。
戦闘シーン必須な話にしたのはあえて。
いつまでも避けてたらダメかなーと。
こういう複数視点のにしたのは、先日友人と登場人物百人ぐらいの物語とかどうかなとか
話した事にも影響されてたり。いろいろな書き方(視点やジャンルなど)を試している一環でもある。
登場人物多いですが、あと固有名詞多いですが、覚えなくていいです。
それでも話の内容分かるようには書いていくつもりですから。
てかこれ序章…序章からして長すぎ…。


それと、ひょっとしたらこれはこの一回で終わるかもしれないんですが(ぉぃ
終わらなければ、次も序章の続きです。。
ジェイとか魔王とか光竜の視点も書かねば。
光竜はあえて書かないかも。それと海賊or海軍を出そうか迷ってる。
海の描写は苦しいなあと…。

あと、「魔竜封珠?それってぱくry」と思う人ご一報ください。
魔竜封珠「ドラゴンドロップ」



杖が火を吹き、剣が火花を散らす混沌の時代。
光と炎の力で世界を支配していた光竜クロスの老弱を見計らい降臨した魔王をきっかけに、
各地で紛争が勃発した。中央大陸ではドラグニア騎士団のクーデター、
森林地帯ではアルフレッド率いるヒューハウンドの武装蜂起。
世界は紛争、内乱から種族同士の生き残りを掛けた戦いとなった。
――その頃、クロス、魔王は感付いていた。リューレル山脈に眠る強大な力、
後にこう呼ばれる事になる、魔竜封珠「ドラゴンドロップ」の存在に。



<序章>



☆フィライス帝国☆

皇都ドライタイト王宮の一室で、若い男が、一人、町を見下ろしていた。
男の名はゼクス。フィライス帝国の現皇帝である。
そのあまりに強さ故に暗黒騎士と呼ばれた戦士で、強力な槍術を扱い、魔法の扱いも一級だ。
白に近い銀髪と、端整な顔立ちに走る赤いタトゥーが目を引く。
扉の叩かれる音にゼクスは振り返り言った「入れ」
「失礼します」と入ってきた男は、側近のケスドイル。身に纏う赤いローブは上級魔術師の証だ。
ケスドイルは前置きも手短に、近状を報告した。
「…そうか」ケスドイルの報告を聞き終えたゼクスは溜息をついた。
「また暴動が起こったか…。どうやって鎮めればよいのだろうか…」
皇帝アームフィアーの失踪後、近衛兵から皇位に就いたゼクスだったが、
民心を掴むのは難しく、内政の動向に悩んでいた。
「陛下、是非ともここは私にお任せ下さい」
「ケスドイル…またその魔力で暴動を捻じ伏せるのではないだろうな」
ゼクスは諌めるように言った。
「滅相もございません。次の策は完璧です。必ずや成功させてみせます」
「しかし…どうもお前はやり方が厳しい。
私はアームフィアー様を見習わければ。民心を掴まねばならんのだ」
ケスドイルは黙り込んだ。
「今私に必要なのは、絶対的な力ではない」自分に言い聞かせるようにゼクスは言った。
「まず民心を掴まねば…国が駄目になる」
「もちろんそれは心得ておりますが…。社会の治安を乱す輩には、
それなりの制裁が必要かと…。 優しさや甘さだけでは民心を掴むことは出来ません」
ケスドイルの言葉にしばらく沈黙してから、ゼクスは肯いた。
「そうだな…」
「民心を完全に掴むにはかなりの時間が掛かるかと存じます。
無理はなさらずに…あなたは新皇なのですから…」
「…ああ」
それから話は戦の事に移った。
「魔王はまだラズオン海峡を越えてないんだな?」
「ええ。しかし時間の問題でしょう」
「こちらに来るか…それともリザードマンの方へ行くか…」
「悪魔の力に対抗するには、我が国はまだ戦力不足でしょう」
「ああ。内政と兵士の訓練を急がねば」
そこで言葉を切り、ゼクスはケスドイルを見た。
「当然、私は前線に出るつもりだ」
「…今、あなたを失うと国は相当な混乱に陥るでしょう。
しかし戦力的にはとても心強いですね。それに暗黒騎士の名は轟いています。
味方の士気は上がり、敵の士気は下がる」
「しっかり護ってくれよ」
ゼクスは笑いながら言った。それから真面目な顔に戻り、
「後は…ヒューハウンドは恐るに足らないだろうが」と話を戻した。
「ええ…とりあえず、現状では」
油断は禁物ですが、とケスドイル。
「悪魔と三つ巴になるよう上手く誘導できるといいのですが」
「その前に潰されそうだな…」
今後の戦略についてしばらく話した後、ゼクスが沈鬱な声で言った。
「展望は暗いな…」
ケスドイルは否定もできず、俯き黙った。
「まあ…最も大事なのは民と国。生き残りだ。クロスと永久同盟を結べれば良いのだが…」
衰えたとは言っても、クロスの力が強大なのは相変わらずで、
ゼクスはこの戦争で最も強力なのはクロスか魔王だと考えていた。
魔王と同盟を結ぶのは有り得ない。なんとかクロスの力を利用できないだろうか…。
「そういえば、クロスの弱体は老い、だとか?どうも納得がいかないんだが…」
ケスドイルも首をかしげた。
「さあ…。しかし数千年に渡って支配して来た、らしいですからね。
確かにおかしいと思います」
「何か他に原因が…?」



☆鬼族☆

一年中雪の降り積もる、北大陸の極寒の地、トゥーバに鬼族と呼ばれる異民族が存在している。
彼等は雪のように白い肌と髪を持ち、美麗揃いで知られ、神秘的な雰囲気を放っていた。
特殊な能力を備えている彼等は、それ故に異端と虐げられて来た歴史を持っている。
その為、世界の混乱に乗じ、今こそと挙兵をしたのだ。
「我等一族は常に迫害に晒され続けてきた。今が復讐の時だ!」
鬼族の長臘月は民に向かって演説を行っていた。
通常、魔法は個人により属性の適正が存在している物だが、臘月は全属性を操ることができた。
その能力と人望を買われ、二十三歳の若さで長に抜擢された。
演説を終えた臘月に近づき「お疲れ様です」と声を掛けた女性の名は朧。
その首の辺りには式龍と呼ばれる、蛇のような細長い体の小さな蒼い龍が浮かんでいる。
「どうだった?」
「お見事でしたよ。民の士気も十分です」
臘月の言葉に朧は答えた。彼女は、経験の浅い臘月の秘書のような役割を与えられていた。
しかしその戦闘能力は一族随一だ。朧の遣う式龍は、一撃の威力が凄まじく高い。
そこに、兵の訓練を担当している錦丸が駆け寄って来た。
「アイスマン達が動き出したようだぜ」
彼は臘月と幼い頃から親しく付き合っている友人で、臘月にとっては最も心強い味方だった。
錦丸は一族の者としては珍しく、特殊な能力を持たなかった。
魔法も使えない錦丸が、それでも兵士の訓練を任されているのは、
白兵戦の強さと戦術に、とても秀でている為だ。
「フューゼル高原を取ったして…しかしアイスマンと雪原で戦うのは避けたいところだな」
「しかしこの一帯は雪に覆われているので草原への誘導は難しいでしょう…」
「最も近いのは中央の方だが、あちらはドラグニア騎士団がいるからな…」
錦丸が言って、三人は沈黙した。やがて臘月が口を開いた。
「エルフがアイスマンの抑制になってくれると良いのだが…」
「あまり期待できないでしょう」朧がにべにもなく否定した。
「彼等だって雪原には踏み込みたくないでしょうから」
「となると…トゥーバを全力で防衛しつつ、フェーリ地方を制覇するか?」
「それが無難じゃないかな」
錦丸が頷いて、臘月は話をまとめた。
「ではアイスマンが来る前にできるだけフェーリの方に進軍しよう」



☆妖精☆

人里離れた沼地に住まう妖精達は長く平穏な暮らしを続けていた。
族長であり統治者であるシェーラの強力な精霊術に恐れをなして、
今までは何者も侵入して来なかったのだ。
しかし戦争は確実に彼等妖精達の生活を脅かしていた。
シェーラは自衛の為に挙兵を決意した。



☆ヒューハウンド☆

ヒューハウンドと呼ばれる種族は、もともとは害虫と罵られたゴブリンだった。
ゴブリンは知能が低く、また「人間」や「エルフ」と言った種族から見ると醜く、
長く迫害を受けてきた。しかし、ある時一人のエルフとゴブリンが恋に落ちた。
詳細は全くの謎に包まれているが、その結果生まれたエルフとゴブリンのハーフが、現在のヒューハウンドだ。
ゴブリンはやがて滅びたが、しかしエルフの弓の腕と、
ゴブリンの頑丈な体を併せ持ったヒューハウンドは、その後ひとつの種族として確立していった。
ある時代、ルァウド率いるエルフ軍との争いに負け、ヒューハウンドはルァウドの支配下に置かれた。
それから長らく鎮圧され続けた彼等は、この戦争を絶好の機会とばかりに、武装蜂起を起こした。
リーダーの名はアルフレッド。外見は一般的ヒューハウンドと同じ、灰色の髪と、
森に措ける擬態の為の薄茶色と薄緑が入り混じったような不思議な体の色。
戦闘能力も特別優れているという訳でもない。
彼が秀でているのは人望と統率力だった。
密林都市ファーノスで、地図を前にアルフレッドはジーンとバーゼルと戦略を話し合っていた。
「北のルァウド、南のリザードマン、西のゼクス、東のグレイだな」
アルフレッドが重苦しい口調で言った。
「四方を敵に囲まれている…どうする?」
「…まあ。手は一つじゃないだろうか」バーゼルは躊躇いながら言った。
「この地を捨てて、全体で移動する。突破だけならできるだろう…」
「…そうだな」
ジーンとアルフレッドも仕方ないというように頷いた。
「その場合、どちらの方面に行くか?森林の方がいい、が…」
「北…ルァウドを潰してしまうというのは?」
ジーンの言葉にアルフレッドは顔を上げた。
「本気か?」
「やってやれないことはない、でしょう?」
ジーンが笑みを浮かべながら言った。バーゼルもにやりとした。
「それは楽しそうだな」
「…起死回生の手段、という感じだな…」
皆に投票をしてもらう、とアルフレッドは提案した。
「それはいいですけど、ルァウドには恨みがありますからね。普通にそこに集まるんじゃないですか」

ヒューハウンドの主要な人々を集めての会議が行われた。
この地を捨てる、という事についての是非は一人も反対しなかった。
どちらへ移動するか、についての投票は西のドラグニア騎士団の方へ、
という意見が多数を占めた。
「これはまあ、予想通りだな…。グレイが一番突破しやすそうだ」
頷いてから、アルフレッドはジーンの提案を話した。
「ルァウドを潰してしまうというのは?」
――結果、賛成数が僅かに反対数を上回った。
「意外ですね…」ジーンが不思議そうに言った。
「そんな事できるはずがない、
できたとしても犠牲が多すぎるだろうとという心配があるんだな」
なんにしても、とアルフレッド。
「決まった事だ。ルァウドを潰すぞ」



☆ラヴィアナ王国☆

砂漠は人間が生きるには苛酷な環境だ。作物は育たないし、水は枯渇する。
そんな砂漠が全域を覆った大陸の南西の海岸沿い、
王都ルーベンスに聳え立つ王城で二人の人間が会話していた。
片方の女性は、ラヴィアナ王国の現女王アスカルナ。
追放された弟の変わりに王位を継承した彼女は、
女性ながら武力国家ラヴィアナならではの戦闘力を誇る。
蒼い短髪と赤い瞳は見るものに誇り高い印象を与える。
一方の男性は黒いフードで顔を覆っている為にほとんど表情を窺えない。
しかし隙間から除く眼光は鋭い。屈強な戦士であり、参謀である彼の名ははツェルソン。
前王の代からずっと王族を支えてきた男である。
「ふぅ……なんとか残存勢力も討伐できたな」
アスカルナが嘆息しながら言った。
「このたびの討伐戦、見事な物でしたぞ、姫」
「よせ、副将であるお前の助言がなければ、成し遂げられなかったことだ」
「そう謙遜されなさるな、姫」ツェルソンはそこで少し間を空けた。
「それよりも、これからは海の外にも、目を向けなければいけませんぞ」
わかっている、とアスカルナは頷いた。
「だが、まだ、奴が、フリートが残っている」
「…厄介ですな、あの男も…」
「なんにせよ…今この大陸に強大な力が集まりかけている。
私たちも戦力を整えて、本格的に砂漠を統一するぞ」
「…黒鋼機甲部隊に、なんなりとご命令を」
ツェルソンが恭しく言った。
「…世話をかける」



☆ルァウド☆

エルフは二種類存在する。片方は闇魔法を得意とし、片方は光魔法を操る。
特に対立しているという訳ではなかったが、性格の傾向や習慣に違いがあり、
両種は分かれて生活していた。うち闇魔法を得意とする方は分類する時はダークエルフと呼ばれ、
気性が荒く、剣での白兵戦を得意としていた。
そんなダークエルフを現在束ねているエルフの名はルァウド。
世界で最も高いという、シーク中央管理等の管理者でもある。
彼はアルメリアと今後の進路を話し合っていた。アルメリアは光魔法を得意とする方のエルフで、
ライトエルフに分類される彼女がここにいるのは、ルァウドと古くからの友人で、
現在ライトエルフを束ねているジェイが種族間の協力の証として派遣して来た為だ。
代わりにルァウドはダリアというダークエルフをジェイに遣わせた。
実際アルメリアは優秀で、ルァウドは彼女を重宝していた。
「俺としてはこの近辺の森を守れれば充分なんだがな…」
「喜び勇んで戦いに赴くかと思いましたが?」
首を傾げ、鮮やかな黄色の髪を揺らしながらアルメリアが言った。
外見的な特徴も分かれていて、ライトエルフは髪が黄色く、肌は緑に近い。
ダークエルフは髪が藍色で、肌は茶色だ。これは住む場所と種族の特徴によるものだった。
ライトエルフは陽の差し込む明るい森で、基本的に穏やかな生活を送ってきたため、擬態を必要とせず、
また鮮やかな緑に同化する肌の色を手に入れた。
逆に、ダークエルフは暗い密林で戦闘を繰り返してきた為にそのように進化した。
「ヒューハウンドの蜂起を許したのが割とショックだったな…」
ルァウドは溜息をついた。
「とりあえずは自衛に専念する。…ヒューハウンドはこちらに攻め入ってくると思うか?」
「さあ…。可能性は五分五分、ってところでしょうか。四方を敵に囲まれている彼等は、
恐らくファーノスを捨てて、捨て身でどこかを突破すると考えられます」
「…ファウラー半島の方にも軍を進めておいて、ジェイ軍と隣接、
アイスマンの抑制を計りたいな。まあそこについてはジェイと連絡を取って決めるところだろう」
「差し当たっては、自衛、ですね」



☆ラインハルト王国☆

ドラグニア騎士団団長グレイは、騎士団を率いヘクスラスオを倒しラインハルトの実権を握った。
これがこの戦争勃発の、悪魔降臨に次ぐ大きな要因となった。
彼の指揮する大量の騎士団の力は、平原では敵無しである。
その統率力もさることながら、グレイ自身の武力も相当なものであった。
彼の操る護竜剣と呼ばれる長剣は竜が宿っていて、その一太刀はあらゆるものを切り裂くという。
しかし、不慣れな政治と、国境線付近でのリザードマン達との戦いにただならぬ疲労を感じていた。
そんな時、グランウェル城に向かわせていた騎士ジルテスが帰投してきた。
――王都デュークライト――
「ジルテス、只今帰投致しました」
「ご苦労。様子はどうだった?」
「はっ。現在、ヘルレイム国境線にはモンスター共が巣食っており、中立状態で膠着しています」
グレイは思案しながらジルテスの言葉を聞いている。
「国境線からの侵攻ルートは実質上二本。グランウェル城と、防衛区二区です」
「なるほど…。それで、騎兵の数は足りていたか?」
「はい、完全とは言えませんが、防衛に必要な数はいます」
「完全にしておくべきだな。何百騎かそちらへ向かわせる」
「了解。自分も直ちに城に戻ります。あと、聖職者部隊も一緒に索引していきますが、
それで宜しいでしょうか?」
「分かった。任務に入れておく」
「恩に着ます」
「私もいずれ出向くとする。その時は、この城はお前に任せるぞ」
「はっ、了解しました」
グレイはそこで少し間を空けて、言った。
「それでは…健闘を祈る」



☆ラズィール☆

ヘイゼス地方を活動中心とし、ニクス城や首都グラネドを拠点とする義勇軍も、
今回の戦争に参加していた。
義勇軍の長の名はラズィール。二十二歳の若きリーダーは、「天撃の射手」の異名を持っていた。
一流以上の弓の腕を持ち、彼の放った矢は天の星をも貫くと言われる。
義勇軍の目的は自衛だが、ラズィール率いる弓手軍団の攻撃力は、
他軍を恐れさせるだけの威力を持っていた。彼等の存在は戦局におおいに影響を与えるだろう。



☆バルドラス帝国☆

帝都グヴィネア司令室で、二人のリザードマンが向かい合っている。
体は灰色の鱗、背中を覆う部分だけ、くすんだ緑色の堅い鎧のような鱗。
リザードマンは元はは沼地を住処としていた。が、ある時妖精との衝突、
さらに人間との争いが重なり結果的に山岳地帯に追いやられる事になってしまった。
それも遥か昔の話で、それから進化を重ね彼等の体は沼地から山岳向きのものに変わっていった。
鱗の色は沼地に住んでいた頃の名残だった。
片方のリザードマンゼノンが羽織う赤いマントは帝位を表している。
バルドラス帝ゼノンは、平野の騎士団との戦いに備える為、
国境警備に当たっているグラントを呼び出した。
「グラントよ……。騎士共の動きはどうなっておる」
ゼノンが口を開いた。グラントは畏まり、緊張した声で答えた。
「はっ、全力で確保した国境線ですが、再び魔物共の手に落ちています」
ふむ…とゼノン。
「西方の戦士等の動きでゲルドは身動きが取れん。悪魔の動きも気になるのだ。わしも、直に向かう」
「ザバグで警戒に当たっているガルム殿をこちらの国境線に送っては?」
グラントが恐る恐ると言った風に提案した。
「西方の防備はゲルド殿がおります」
「ガルムは魔物の討伐も兼ねて配置しておる」ゼノンは穏やかな声で言った。
「それにな、ヤツが居るとお前は思考が疎かになる。お前はヤツに頼りすぎているのだ」
「っ……私はそんな事……っ!!
声を荒げたグラントをなだめるように、ゼノンは静かな声で言った。
「落ち着くのだグラント。お前にはお前の役目。ガルムにはガルムの役目があるのだ」
そこでゼノンは射竦めるようにグラントを見た。
「よもや、わしの采配に異論を唱える訳では…あるまい?」
「…そんなことはありませぬ。…承知しております」
鋭い視線に畏縮し、グラントはそう言ったが、しかしどこか不満気な様子だった。
「今は騎士共を攻めるより、国を盤石の物とすることが重要なのだ。
無理に城は取らずグレンデルと国境線の警備を強化せよ」
「…御心のままに」
ゼノン帝。人心掌握の上手さに基づく人望と強大な武力を併せ持つ偉力のリザードマンである。
列強に挟まれながらも、その力は衰えを知らない。



☆アイスマン☆

アイスマンとは、元々、人間に代わって、雪原地帯で戦う戦闘兵器として作られたものだ。
だが致命的な欠点として、知能が低すぎた。応用力がなく、
不測の事態が起きると全く対応できない。
そこで、人間の魂をアイスマンに封じようという試みが行われた。
失敗に次ぐ失敗。だが、ある時一人の科学者の実験によって、
一気に四体の、人間の魂を封じ込めたアイスマンの製造に成功した。
してしまった。つけられた名前は「アレン」「フレディ」「シューファ」「オディリア」
アイスマン達はすぐに反逆を起こした。
皇帝ウォーレディンを倒し、アイルーン皇都を占領して、西雪原地帯を制覇した。
彼等はたった四人だったが、しかしもともと戦闘兵器として作られ、
そして欠点をカバーした、その戦闘能力はとても高かった。
彼等がこの戦争にどのように関わってくる気なのか。はっきり挙兵を宣言している訳では無い。
その事は他軍が戦略を立てる際に大きく影響した。
彼等が何を考えているのかは誰にも分からない――



☆ジェイ☆

ジュラノ地方――深い森に覆われたこの地は、長い間エルフだけの聖域であった。
しかし戦争は彼等の平安を否が応にも乱した。
弓矢を得意とし魔力の高いライトエルフは、元来穏やかな性格の持ち主だ。
現族長のジェイも至って温厚だが、しかし冷徹な一面も持ち合わせていた。
というより、そこを買われて族長に選ばれたという節もあった。
中央都市ジュラノで、ジェイはダークエルフのダリアと、今後の進軍ルートを練っていた。
「アイスマンとの雪原での戦いは避けたい。
ルァウドにはファウラー半島まで進軍してもらって、私達はジュクド森に、
軍備が整えば南クオール雪原まで進んでもいいだろう。それでアイスマンへの抑制になるな?」
ジェイの言葉にダリアが肯いた時、一人のライトエルフが近づいてきた。
彼女の名はリルリン。エルフの聖職者クワイアである。
エルフの聖職者は天性の才能で決められ、リルリンは特別優れた力を持ち、クワイアを束ねる存在だった。
「ジェイ様、少し南西で気になる事が…」
「なんだ?」
「リューレル山脈中枢に竜が出現しているようです」
リルリンの言葉にジェイは目を剥いた。
「竜、だと?クロスの兵ではないのか?」
「はい。中枢には竜の伝説が伝わっているのですが、その伝説通りなのです。
それによると、名前はテューフェス――幻竜テューフェス」
「幻竜か…」
ジェイが呟く様に言うと、ダリアが口を挟んだ。
「その情報は?」
「実際に目撃情報が多数。既に世界に広まりつつある情報です」
「ふむ…」
ダリアが黙り、若干の沈黙が続いた。やがてジェイが言った。
「…差し当たって、我等に影響する話では無い、な?」
「そう思われます。テューフェスは他にも数匹の竜を従えているようですが、
しかし中枢を動く気配はありません」
「ならば、それについてはとりあえず措いておく事にしよう」
ジェイは話を戻した。
「基本的に、ルァウドの援護として北も攻めつつ、南に兵を進めゼクスと対立する。これでいいな?」
ダリアとリルリンは肯定を示した。
「では、ダリアはルァウドに伝令を送っておいてくれ。リルは他軍の動向に充分注意するように」
二人が立ち去った後、ジェイは自分に問い掛ける様に言った。
「争いを避ける事はできない――ならば先に潰すまで。この考え方は間違っていない、よな…?」
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