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SONOICHI

ローマ字で書くと斬新な感じがしますね!

戯れにな…去年よりはましなんじゃないですか。
わりと短いので暇でしたらどうぞ。

回想ばっかりなので楽。でも視点が統一されてない気がする…。
追記に。


二人の男が机を挟んで向い合っている。
一方は椅子に座り、もう一方は直立している。
「失敗したようだな」
座っている男の声が冷たく響く。
「申し訳ありません。まさかあのような行動にでるとは…」
「まあそれはいい」
弁明する部下の言葉を遮り、上司は話を進めた。
「生き延びてくれたのは幸い……しかし面白いことに」
彼は実際に唇を歪ませてみせた。「記憶を失っているらしい」 
「え……ではどうするのですか?」
「どうもこうもないだろう。状況は変わっていない。
いつ記憶が戻るかも分からないし、あれは野放しにしていい存在ではない。お前も身に染みてわかっているはずだろう?」
頷きながらも、何かひっかかるような顔をしている部下を不審に思い、
「あれを捕らえたくない理由でもあるのか」
「え、いえまさか。とんでもない」
問われた部下は慌てて否定した。この組織において、命令に逆らうことは死を意味する。
「ならいいがな……すぐに準備に入れ」
「はい」
――部下が退室し、一人残された男は呟いた。
「グラン……という名だったかな。彼はもう駄目かもしれんな……」


とある古ぼけたアパートで起きた爆発事件は結局原因不明とされた。
平日の昼間であり、人通りの少ない場所にそのアパートがあった為か、
外側から何かを目撃した人間はおらず、中にいた人間は一人を残して全員爆発に巻き込まれ死んでしまっている。
生き残ったその一人は十二、三歳と思しき少女。老朽化した二階建ての小さなものだったとはいえ、
アパートを完全に倒壊させ近隣にも被害を出す程の爆発に巻き込まれながら、
少女は奇跡的に軽いの火傷と怪我を負っただけだった。――しかし彼女は記憶を失っていた。

薄暗闇の中で、少女はぼんやりと自分のことを考えていた。
深夜の病院は静まり返っていて、考え事をするのにうってつけだ、と少女は思った。
自分は誰なんだろう?
この病室で最初に目覚めた時に真っ先に思ったのもそれだった。
自分が誰か、というのはつまりはアイデンティティであり、それが欠けていると、ひどく不安な気持ちになる。
初めのうち彼女はかなり取り乱したが、やがて落ち着いた。医師や看護師が支えてくれたからだ。
彼女はこの数日のあいだに仲良くなった人々の顔を思い浮かべる。
ずっとここにいたいな……。
しかし無理なのはわかっていた。記憶喪失身元不明の自分はいずれ然るべき施設に引き取られるだろう。
自分の名前もわからない彼女は、便宜的に「アイ」と呼ばれた。
アイ=I=私、ということらしい。
最初はしっくりこなかったが、そのうちに気に入っていた。
本当の名前以外を使い続けるのは本当の自分から遠ざかっていくのではないか、という不安は変わらずあったが。
溜息をついて、アイは髪に手をやった。透き通るような金色が差し込む月明かりに輝いている。
元はかなり長めだったらしいが、焼けていたので医師が切ったそうだ。
今は肩にかかるかかからないかという程度の長さ。医師がざっくりと切っただけなので、
ざんばらなひどい髪型になっていたが、その程度では損なわれないほどの美しさを少女は持っていた。
西洋風の顔立ちと白い肌。藍色の大きな瞳が長い睫毛に縁取られている。
アイが仲良くなった看護師の一人は「フランス人形みたい」と評した。アイの話す日本語は流暢ではあったが、
微妙ななまりがあったため、ずっと日本で育ってきたわけではないのだろう、と思われた。
また、アイはそのか弱そうな外見に似合わぬ鍛えられた体をしていた。何かしらのスポーツをやっていた…と、
彼女はこんな風に細い糸を辿って自分の記憶を探すしかないのだった。

小さな物音が聞こえて、アイは我に返った。ベッド脇のデスクに置かれた時計に目をやると、
既に一時をまわっている。どうやら、一時間以上もぼうっとしていたらしい。
十二時を過ぎて――今日でこの病院で過ごすのは四日目だ。怪我はもうほとんど治っている。
先生は「回復随分はやいねえ!」と驚いていたが、嬉しくない。この病院を去る日が早まるだけだ。
「はあ…」
溜息。最近溜息が多い。最近といっても以前がどうだったかは覚えてないのだが。
もう寝よう、と思って起こしていた体を倒そうとした、その時。
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