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(この記事の下にある一と二を先にお読み下さいませ)

今回で終わり。遅れました。
案外長いですね…PCの画面で見ると。
強化改造とか言ってますが気にせず。
ボーン・レガシーの主人公も遺伝子操作と人格改造施されているらしいですしね!
それにこれでもましなほう。
最初は結界とか妖刀とか出てくる予定でした。

終盤やっつけ。
アイは侵入者の額に銃を向けながらも、全く状況について行けずにいた。
この男が病室に入ってきてからまだ……十秒?二十秒?それぐらいしか経っていないだろう。
その間の自分の動きをアイははっきりと思い出せるが、しかし自分の意思で体を動かしていた訳ではなかった。
それに、ナイフを突きつけられて固まったあの時、
アイは自分の中で誰かが「この男は私を殺すのが目的ではない」と囁くのを感じたのだった。
それはきっと、失った記憶の残滓――。
私は一体何だったの?
記憶の手がかりを見た嬉しさは、そのあまりの思いがけなさにあまり感じることはなく、
アイはただただ、戸惑っていた。
というか、今は自分の事よりも目の前のこの人をどうにかしなさいよ!
自分で自分を叱咤して(それは『誰か』だったかもしれない)アイは口を開いた。
「私に何のようですか?」
何のようですか、ってなんて間抜けな質問だろうか。アイは言い直した。
「何で私を襲ったんですか?」
あれ、あんまり改善されてない?
どう言ったらいいんだろうとアイは悩みながら男が答えるのを待った。しかし数秒たっても話しだす気配はない。
その時、ふとアイは思った。
私は以前の記憶を失っているけれど、何か尋常ならざる事をしていたみたい……。
もしかしたら……この人に殺されるのも仕方ないと思えるような、何かひどい事をしたのかもしれない……。
記憶を取り戻したい、という意思が初めて揺らいだ。
その思いを知ってか知らずか、彼女の本能が囁いた。――撃て!この男は私の隙を狙っている!撃て!
アイはいよいよ自分が恐ろしくなった。
人を殺そうとあっさり思ってしまう自分――やはりまともな人間ではなかったのだろう。
なおも何かを囁いているかつての自分の声を意識から外して、
アイはこの硬直した状況をどうするべきかを考えた。
この人……喋れない、とか言うことないよね……?筆端とかするべき……?
と、自分でもちょっと呑気過ぎるな、と思うような事を考えた時、不意に男が声を発した。


「……やり直す気は、あるか?」
なぜ自分はこんな事を言ってるんだろう、とグランは自分の正気を疑った。
そう、とてもまともじゃない。組織を裏切ろうなんて。
「え……?」とエルセが戸惑ったような声を返す。
それはそうだろう。言った本人すら大いに戸惑っているのだから。
銃は変わらず額に向けられている。だが、グランは銃を握る少女の手は、
少し前から力が抜かれていることに気づいていた。今なら撃たれる前に払いのけれるだろう。
それにそうでなくとも、今の彼女が引き金を引くとは思えなかった。
エルセは何かに怯えたような表情をしていた。グランはそこに歳相応の純粋さを垣間見た気がした。
彼は目の前の少女が幾人もの人間を殺してきた事を知っている。それでも思ってしまったのだ。
記憶を失っている今なら、あるいは普通の少女としてやりなおせるのでは無いか、と。
その歳でこの世界にいること、洗脳され組織の道具として使われていることに、
以前から同情めいたものを感じてはいた。
しかしそんな事で揺らぐなんて――自身の手だって血に染まっているというのに。
自分の心を苦々しく思いながらも、グランは言葉を続けた。


男は今まで一言も発さなかったのが嘘のように、口早に言葉を紡いだ。
「お前はある組織を裏切り、そして追われいてる。生きている限り追われ続ける」
男の話す日本語は、アイ同様微妙な訛りがあった。
「捕縛せよと私は命じられている…が、誤って殺してしまい、死体は自分で始末したことにする。
お前は逃げろ。この地を離れ……その後どうするかは…自分で考えろ」
唖然として男の話を聞いていたアイは、急に態度を豹変させた男に対する不信感で一杯だった。
訳が分からない……逃がすつもりならなぜ最初は襲った?
自分がある組織を裏切ったという話は本当かもしれない。それぐらいの大事でもないと、
自分の異常性は説明できない、とアイは思った。しかし自分を逃がそうと言う言葉は到底信じられない。
今は銃を突きつけられ窮地に陥ってるから、一度分かれてそれから改めて襲ってくる、とか……。
……どちらにしても、アイはこの男を撃つ事はできないし、この事を公にする訳にも行かない。
追われている以上この場に留まる訳にも行かない……。アイはとりあえず相手の提案に乗ってみようと思った。
「どうして私を助けようとするの?」
詰問するような口調で言ったアイに男は苦笑を返した。
「さあ……きまぐれだな」
男はずっと握ったままだらりと下げていたナイフを床に落とした。それからゆっくりと体を起こす。
男が一歩離れた所でアイも素早く立ち上がった。銃口は変わらず男を狙っている。
「バッグの中身を取りたいんだが…」
その言葉で、男がデイパックを背負っている事を知る。
もしかしたら、動きにくかったのかも……と思いながら、
「取り外して、体の前に持ってきて。ゆっくりやって」
男が必要以上に大袈裟な動きで言われたとおりにするのを、アイはじっと見つめていた。
油断は許されない。
「取りたいものって何?」
「財布。……現金を渡したい。逃亡資金にな」
「……そう。じゃあバッグの口を開けて、床において。それから少し離れて」
男が離れた後、アイは慎重な手つきでバッグを探った。
しかし中には折りたたまれた薄手のコートと財布しか入っておらず、アイは少し拍子抜けした。
武器の類が入っているだろうと思ったのだ。
銃を構えながら片手で財布の中身をあらためるのは困難で、アイは諦めた。
「現金だけ抜き取れ」
この男は本気で私を逃がそうとしているんだろうか。
アイは紙幣だけ抜き取り――それをどうしよう、と思った。病院着にはポケットなどついていない……それに、
そういえば、このままでは服を買うまで目立つだろう。そんなアイの考えを見透かしたように、
「コートも持って行け。外は寒いだろうしな」
アイはコートを手にとった。発信機などがつけられている可能性は高い……しかしどのみち、
朝まではろくに移動できないのだ。
そもそも、本気で追ってこられたら頼れるところもない子供が逃げきれるはずは無いのだ。
アイはもっとこの男にいろいろ話を聞こうかと思ったが、真実を話すかもわからないし、
もし本当に隠蔽をしてくれるつもりならあまり時間もないだろう。アイは病室の扉に手をかけた。
「全く信用してないけれど……もしかしたら、ありがとう」
アイの言葉を聞いて男は複雑な表情をし――それから少しだけ、嬉しそうな笑みを見せた。
何か、報われた、という感じの表情だった。その表情にアイは胸をつかれた。
「生き延びてくれ、エルセ」
「エルセ?それって…」
「ああ、お前の名前だ。本名ではなくコードネームのようなものだが。さすがに本名は知らないな…」
そう…、と頷いたアイの言葉は声にならなかった。
以前の名前を聞いたら記憶が戻ってしまうのでは無いかとという危惧、そうならなかった安堵。
しかしエルセ、という言葉を聞いた時、アイは深い喪失感のようなものを感じた。
「もう行け。銃はできれば病室の前か、病院の外か、どこかに置いていって欲しい」
「分かった。…あの」
アイは躊躇った。
「あなたの名前は?」
男は少しの間目を瞬かせていたが、やがて答えた。
「グランだ。これもコードネームだが…私は自分の本名も知らないんだ」
アイは、彼も自分と同種の闇を抱えているんだ、と思った。
「グラン、ね。…じゃあね」
まだ聞きたい事もあったが、急いだほうが良いのだろう。
アイは最後に少しだけ男を信じる気になっていた。
扉を開け、廊下に出る。扉の閉まる直前、アイは小さく呟いた。
「またね」
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